好きの心

「…この好きの心の中を日が移り夜が動く。好きの中に生が包まれ死が包まれ、果ては六道さえも好きの中を巡っている。見事な、小気味よい生き方であろうよな」
(中略)
「好きというのはな、船なのじゃ。無明長夜を超えてゆく荒海の船なのじゃ」
〜辻邦夫『西行花伝』「一の帖」38頁