初めから期待をしなければ、失望もしなくて済むのだ。身の程を忘れて欲張ると、ろくなことはない。へたをしたら、せっかく手に入れたものまで根こそぎ失うことになるかもしれない。そう思うだけで気持ちがすくみ、俺はつい、夏姫さんの前で、＜物分りのいい…

記憶のいれものというのはたぶん、古ぼけたオルゴール付きの小箱みたいな姿をしているんだろう。見た目は何の変哲もなくて、だからふだんはそんなものが自分の中にあることさえ忘れている。でも、何かの拍子に見聞きしたものが鍵となり、それがたまたま鍵穴…

昨日の東京出張で、待ち合わせまで、少し時間をつぶすために、東京駅の大丸の６階にある三省堂書店に併設されているBOOK CAFEに入った。ここは、東京出張の折にたまに同じような理由で利用しているが、いつ来ても、落ち着いた雰囲気と人が少ないのでお気に入…

知人の息子が入院先の病院から家に戻ってきた。彼を受け入れるために知人は家を替わった。出来るだけシンプルな動線を目指して。一番の心配はトイレ。４ｍ先のトイレの途中の３ｃｍの段差が行く手を阻み、往復するのに１０分かかるらしい。今のところ、オレ…

昨日『PLUTO 002』を読んで感じたこと。殺人ロボット「ブラウ１５８９」は、完璧なるがゆえに殺人を犯したのか、殺人を犯したことで完璧になったのか。ただ分かっているのは、完璧なる人工知能であったということだけ。アトムは言う。「人を殺す完璧って、い…

村山由佳『天使の梯子』 『天使の卵』の登場人物のその後の話。リリカル。 レベッカ・ブラウン『体の贈り物』 AIDSで死を迎えつつある人たちとそれに寄り添う人たちの日常を淡々と静かに語る短編集。落ちも何もない唐突な終わり方が素敵だ。人生はほとんどが…

朝 カレー 晩 オイスターソース焼きそば、冷奴