高田郁『花散らしの雨』

ますます快調。麻疹騒ぎで手伝いに来てくれたりう婆のこんな一言。

「食べる、というのは本来は快いものなんですよ。快いから楽しい、だからこそ、食べて美味しいと思うし、身にも付くんです。それを『食べなきゃだめだ』と言われて、ましてや口に食べ物を押し付けられて、それで快いと、楽しいと思えますか?」
「まずはあんたが美味しそうに食べてみせる。釣られてつい、相手の箸が伸びるような、そんな快い食事の場を拵えてあげなさい。さじを相手の口に押し付けるよりも、そっちの方がずっと良いと、あたしゃ思いますよ」

そして、またりう婆はこんなことも。

厄介ですとも。楽しい恋は女をうつけ者にし、重い恋は女に辛抱を教える。淡い恋は感性を育て、拙い恋は自分も周囲も傷つける。恋ほど厄介なものはありゃしませんよ

とにかく、りう婆がいい味出してます(笑)。さすが八十女。それと、澪尽し=身を尽くし、てな感じで、主人公・澪を見事に言い当てたり。これは弦斉先生の言。